• 杉山信二

水抜き加工シートと遮壁層

更新日:2月18日


モルダム工法の特徴でもある「排水機能」について書いてみたいと思います。


現在の擁壁の基準では、3㎡に1箇所φ75mmの水抜きパイプが必要です。

しかし、既存の石積み擁壁は水抜きパイプが入るほどの広い目地のあるものは少なく、仮にφ50mmの水抜きパイプを設置しようとした場合でも目地部を広く拡張しなければなりません。

自然石の石積みは、それぞれ役割を持つ石同士が噛み合うことで安定させているため「拡張する行為は不安定な状況を作る行為」となってしまうのです。


モルダム工法では、大きな水抜きパイプの代わりに写真の水抜き加工シート(15mm×50mm×500mm)を狭い目地の隙間から挿入して設置する方法を採用しているため、積石の拡張する部分は極限まで小さなものにすることが出来ました。

水抜き加工シートの施工箇所は1㎡あたり1箇所であり、有効面積的には現在の基準より若干狭いのですが、広範囲に染み出すように湧水していることが多い実際の現場を考慮した場合、小口径の水抜きを密に設置する方法が最適だと考えて採用しました。(実際に湧水量が多い部分には増設して配置します)

また、自然素材の吸出し防止材を使用しているため土砂の流出も防ぐ構造となっています。



水抜き加工シートが水抜き材として確実に機能するために、シートの最奥部手前に発砲固化材(発砲ウレタン)で遮壁層を設置します。



発砲固化材は微調整ができるスプレータイプのロングノズルを使用するため、狙った位置に遮壁層を作ることが可能です。










殆どの現場では「遮壁層」は水抜き加工シートの周辺のみ設置する「部分設置タイプ」となっています。



先日のブログにUPしたモルダムエースの「注入口付近から手前の空隙部を中心に充填して、奥の透水層を閉塞しない特性」が遮壁層の部分設置を可能にしています。


また、部分設置の場合では発砲固化材は諸雑費として計上されるため、遮壁層(全面設置)の費用を削除できるので経済性も向上することになります。






断面図のように、赤い部分(9)が遮壁層の部分設置となり、その部分的な遮壁層が水抜き加工シート(7)の先端を守ることによって、水が確実に抜ける構造を形成します。




これはその構造が判る模型です。












背面から見ると透水層の玉石に見立てた白い球体の隙間に水抜き加工シートの先端があり、その周り(赤線部分)の発砲固化材がシートの先端を守っています。

写真では判りづらいのですが、実際に注入した充填剤が透水層に入り込んでいないことも確認できるかと思います。






だから水抜き加工シートの周りに充填剤をしっかり注入しても排水機能は失われないのです。




「水抜き加工シート」が石積みを補強する工法の重要な役目を果たしています。




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