top of page
  • 執筆者の写真杉山信二

危険な空石積みとモルダム工法の必要性

更新日:2023年12月20日

古くから伝わる石積みの技術は素晴らしいものです。


その技術の粋を集めたものがお城の石垣ではないでしょうか。

築造から数百年の年月を経過しても多くの石垣が残っているのですから驚くばかりです。





石積みは色々な積み方があるのですが、基本的な構造を見ると上の模式図の様に大きな積石の隙間に飼石(詰める場所によって友飼石、迫飼石、胴飼石などの名称があります)が詰められ、背面には裏込め石が詰め込まれています。

お城の石垣はこの裏込め石の幅がかなり広い範囲(数メートル規模)に設置されています。この広い範囲の裏込め石が石垣には最も重要だとも言われているほどに大切な部分となるようです。

また、積石の胴長(控え)と呼ばれる奥行の長さが長い場合は飼石がクサビの様に食い込むため背面からの土圧が掛かっても耐えられる構造になっています。



一般住宅などの土留め壁として使用されている石積みを見てみると裏込め石は良くても数十センチの範囲が殆どであり、全く入っていない状態のものも多くあるのが現実です。

また積石も小さく胴長も短いものが殆どであり、飼石もあまり入っていない石積みも珍しくありません。

お城のような石垣を築造する費用はかなり高額になりますので簡単な造りで安価となる石積みが使用されるのは当然のことだと思います。

築造当初は強固に造られているものでも老朽化によって時間の経過とともに不安定な状態になって行きます。








次に不安定要素のある空石積みについて考えてみたいと思います。



例えば間知石として加工された積石でも合端が広い場合と狭い場合では噛み合いや安定性が全く変わります。

狭い合端の積石で施工されたものは不安定な石積みになると言えるでしょう。




写真の様に合端部分が殆どない状態(毛抜き合端という)では、積石がずれてしまうことが多く、表面から見た合端の形がきれいでない場合(笑い合端)では更に不安定な石積みとなります。





工事費を安くするために積石の加工に時間や手間を掛けなかった場合、「毛抜き合端」や「笑い合端」となることが多いのですが、それを補う方法として目地にモルタルを塗っている現場を多く見かけます。しかし、変状は目地部のズレだけでなく飼石が抜け落ちている場合が大半となっているため、目地にモルタルを塗っても飼石が抜けている状態であるならば不安定な状態のままと言えるでしょう。




積石の胴長(控え)が短い場合では飼石の抜け落ちは顕著にみられます。




また、空石積みは高さが高くなると危険性も高くなります。

お城の石垣のように大きな積石と広い範囲の裏込め石であるならば高さにも耐えられますが、小さな積石で飼石や裏込め石も少ない状態では、上部に積み上げられた積石の重さに耐えられなくなるからです。




重さに耐えられなくなると圧密されて押し出されてしまいます。





合端がずれて飼石が抜け落ちれば自重崩壊に至ることも少なくありません。





空石積みに対してモルダム工法が効果的なのは、まず大切な合端部分を接着してずれないようにできること。そして、地震などの外的要因によってずれてしまった合端部分でも強固に接着することが可能です。

また、石積みの内部にも注入することで飼石が抜け落ちた部分も飼石を再生することと同様の状態にすることができます。

更に、合端部分から内部まで注入して接着することで、石積み全体が一枚岩の様に一体化されて強固な状態となります。

それは、モルダム工法の充填剤(モルダム)は高い接着力と高い圧縮強度を有する高品質な接着剤だから可能となりました。


基本的には合端部分から飼石部分までの注入で良いのですが、部分的に大きく膨らんだような場合では局所的にモルダムを多量に充填することで対応が可能です。ただし、背面からの大きな土圧によって膨らんだ場合は他の抑止工法との併用とお考え下さい。


モルダム工法の特長でもある水抜き加工シートは、目地部の隙間に設置(1㎡当り1箇所)できるサイズであるため、無加工もしくは最小限の加工で設置することが可能です。

塩ビパイプなどの排水管を設置する場合では、積石の目地や大切な合端部分を大きく加工しなければならなく、その加工によって石積みの安定性を低下させる可能性が高くなるため、塩ビパイプの設置は極力避けたい手段だと言えます。


新たに特許査定となったピンポイント接着補強は、狭い目地の石積みでも水が抜ける構造で接着補強することが可能となりました。

また、特許出願中の水中打設可能な不分離型のモルダムエースを使用する工法も開発しています。


モルダム工法は、様々な状態の空石積みに対応できる工法であり、石積み本来の機能を再生させる工法です。





※モルダム工法は、国土交通省新技術情報提供システムNETISに登録されている九州防災メンテナンス株式会社の特許工法であり、石積み災害防止工法研究会員で、尚且つ技術研修により高度な技術を習得した企業が施工可能な石積接着補強工法です。


閲覧数:4,940回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page