高さ約1.5mの擁壁が心配で自宅を建てた大手住宅メーカーに相談をしたところ、「手の施しようがなく造り替えるには家一軒分の費用がかかる」と言われた方からのご相談物件です。
表面は植物に覆われているので状況が分かり辛いのですが、強風化した砂岩の石積みでした。
風化は表面だけでなく合端付近にも及んでいるため通常であれば自立も厳しい危険な状態でしたが、調査の結果「練積み」であったことと風化がそこまで進行していない積石も複数含まれていたことで「改修工事」ではなく「補修工事」で安全な状態にすることが可能だと判断しました。
状態の悪い積石は簡単に砕ける状態であり、練積みでなければいつ崩壊しても不思議ではありません。
表面に覆うモルタルと石積みを一体化するための「挿筋」を積石の未風化部分に打ち込みます。
水抜きは重要であるため確実に水が抜けるように、積石と練積みのコンクリート部分も削孔して透水層まで届くように水抜きパイプを設置します。
風化部分を高圧水によって洗浄除去した後に下地処理剤を吹き付けます。
モルタルの厚み(平均厚さt=8cm)の中央部にワイヤメッシュを配置してモルタルを厚塗りします。
砂岩の石積みは乾燥によって風化するため、補修工事として厚塗りのモルタル覆工は非常に有効な工法です。
ただし、積み方や状態、風化の状況により補強工法と併用しなければならないため注意も必要となります。
手の施しようがないと言われた擁壁でも補修が可能な場合は多くありますので、お困りの際は専門業者にご相談ください。
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