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ドボク模型でモルダム工法の物理実験を実施しました

  • 執筆者の写真: 杉山信二
    杉山信二
  • 6月13日
  • 読了時間: 4分

土木構造物に対してどのように土質力学が使われているかを一般の人にも判るようにした「土木模型」でモルダム工法の物理実験を行いました。


実施したのはドボク模型の第一人者である株式会社藤井基礎設計事務所の藤井社長(土質及び基礎の技術士)です。


藤井社長は、弾性波診断技術協会の理事長や日本地すべり学会の理事・解説委員、土木学会の解説委員などを務め、学会での講演やテレビへの出演などでドボク模型を使った教育活動にも力を入れています。2013年4月には「模型実験による土木の理解増進」で文部科学大臣表彰(科学技術賞「理解増進部門」)を受賞されました。土木学会の「土木広報大賞2018」では、「ドボク模型」により土木をわかりやすく伝える広報活動で準優秀賞も受賞されています。執筆や取りまとめなどで関わった書籍に「模型で分かるドボクの秘密」(日経BP)、「実験で学ぶ土砂災害」(土木学会)なども手掛ける土質力学のスペシャリストです。






健全な石積み(空石積)を表現したドボク模型
健全な石積み(空石積)を表現したドボク模型

これは「健全な石積み(空石積)」を表現したドボク模型です。

「石積み」を表現したドボク模型の「積み石」には、どの石が動いたか分かるように根石から順番に1から6番で番号表示しています。

「積み石」と「積み石」の間にある赤くテーピングされたナットは「飼石」を表現した部品です。

また、石積み背面にある土粒子は、サイズの異なるナットをランダムに詰め込むことで表現されていました。






モルタルを注入した石積みを表現したドボク模型
モルタルを注入した石積みを表現したドボク模型

これは「積み石」の目地(合端)部分に「モルタルを注入した石積み」を表現したドボク模型です。

モルタルは茶色部分であり、モルタルでも多少の接着力があるため、摩擦抵抗が大きくなる形状(接地面積を大きくした)にして「積み石」の間にはめ込まれています。






モルダムを注入した石積みを表現したドボク模型
モルダムを注入した石積みを表現したドボク模型

モルダム工法のモルダム(充填剤)は、モルタルの数倍の接着力があるので、「積み石」と充填剤部分の部品にマスキングテープを貼ることで、「モルダムを注入した石積み(石積接着補強工法)」を表現しました。






この「健全な石積み」、「モルタルを注入した石積み」、「モルダムを注入した石積み」の3種類を使用して実験を行いました。




実験は寝せた状態のドボク模型を徐々に立て、その土圧に対して石積みがどのように動くか確認します。 さらに、地震を想定して一定時間(60秒)バイブレーターを使用して振動を与えます。






先ず、健全な石積みのドボク模型は、振動を与える計画勾配(約60°)で2番から上の積み石が膨れだしました。


そしてそのまま更に立てる(急勾配にする)と崩壊してしまいました。






根石部分が固定されていなかったため、「埋め戻し土」を想定した部品を1番目の積み石部分に設置して、土粒子の動きが判るように色分けしたマークを付けて再度実験を行いました。






計画の60°付近まで立てると「埋め戻し土」により根石が固定されたためなのか、2番の積み石は少し動いただけで、3番から上部の積み石が大きく動きました。

背面の土粒子も大きく動いたことが確認できます。


この状態で振動を与えると・・・


あっという間に崩壊してしまいました。


土粒子の動きが判りやすいように赤い針金を付けてみると、この針金から上側にある土粒子が動いていることが確認できます。






次に、この「モルタルを注入した石積み」の土木模型の根石部分に「埋め戻し土」を想定した部品を設置して、予定の傾斜角(約60°)で振動を60秒与えました。


その結果、3番から上部の積み石が大きく動いてしまい、背面の土粒子も動いていることが確認できました。


健全な石積みと比較するとかなり強度は増していますが、危険な状態になったことが判ります。






続いて、モルダム工法「モルダムを注入した石積み」を表現したドボク模型の根石部分に「埋め戻し土」の部品を設置して、予定の傾斜角(約60°)で振動を60秒与えました。


その結果、3番から上の積み石が若干動いたものの、動きは非常に小さく、背面の土粒子も動いているのか判らない状況でした。






以上の結果から健全な石積みでも空石積であれば「強度は低い危険な擁壁」であることが確認され、注入による補修はモルタルよりも接着力が高い石積接着補強工法(モルダム工法)が最適であることが確認できました。


特にモルダム工法は、充填剤の接着力の高さで石積みを一枚岩のように接着でき、更に高圧縮強度であることよって、擁壁摩擦をより高い次元にできる最良の補強工法であることが確認できました。







※この状況は後日動画で報告させて頂く予定です

 
 
 

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