沢地に築造された空石積みの2段擁壁です。
写真の通り下段の石積みは大きく押し出されて危険な状態でした。
場所的には大規模盛土造成地でもないため沢地の地山部分を整形して石積みで盛土された現場となります。
地盤は新生代第四紀の堆積岩(谷底平野・山間盆地・河川・海岸平野堆積物)の分布される地域となります。
緩んだ部分の石積みは補修で塗られたと考えられるモルタルも全て割れて積石が谷側に押し出されている状態です。
石積みの下層には水道(みずみち)があり、常に水が流れている状態でした。
竹も繁茂していたため、石積みの押し出しにその根の影響もあるのかも知れません。
石積みの直ぐ下には建築中の家屋があり、敷地等の問題もあることなどからモルダム工法で接着補強することになりました。
付着しているモルタル等の付着物は撤去して各積石を接着補強します。
水の侵入防止と竹の根絶を狙って小段は張りコンクリートで全面を覆いました。
そして、この現場で一番重要視したことは地下水位の上昇に伴う側圧上昇の防止です。
その対策としてフィルタードレン打込工を設置することで強制的に水を抜く事としたのです。
通常の水であれば水抜き加工シートの設置で十分なのですが、水の多い沢状の地形では想像を上回る水量となることが予想されるためこの工法を採用しました。
施工から7年が経過しましたが、現在も変状なく安定した状態を保っています。
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