• 杉山信二

崩れかけた石積み(宅地)の補強


過去で一番危険な状態であった石積みの補強例です。


所有者様は自宅が傾いてきたことを知り、その後かなり時間が経過してから石積み擁壁の異常に気付いたそうです。




初めは駐車場の張りコンクリートと家屋の間の隙間が開いたので補修したそうですが、進行は止まらず、その後徐々に家屋の一部が沈下しはじめてきたそうです。




擁壁の異常に気付くのが遅くなったのは、石積み擁壁の表面に植物が繁茂していて見えなかったことも原因のひとつだったようですが、石積みがそんなに危険な状態になることなど考えてもみなかったと言われていました。

確かに一般の方は「擁壁が崩れる」という考えはないのかもしれないですね。





結果的に緊急工事を行うことになったのですが、その時は数日間で2~3cm程度家屋が下がったそうです。




ファイバースコープ等により石積みを調査した結果、上部の家屋などの荷重が石積みを押しつぶしている状況であることが分かりました。

また、幸いにも地山部分は意外としっかりした状態(石積み内部に土砂が流れ込んでない)で、石積み裏側には大きな空隙がありました。

本来であれば、石積み擁壁の前面に押え盛土を直ぐにでもしなければならない状態ですが、設置スペースや搬入路等の問題でそれも出来ません。

検討した結果、この空隙部全体に充填剤を注入して、崩れかけている積石を接着補強することで疑似擁壁を構築する計画を立てました。この疑似擁壁では完全に動きを止めるのは難しいかも知れませんが、大規模で崩壊することを防ぐことは可能です。

近隣住居や家族の生活などを考慮して緊急工事として実施しました。




空隙が広く、注入は計画的に分散して側圧の掛からないように行います。




危険を伴う作業ですが、時間との戦いでもあるため急結剤も併用して急ピッチで作業を行いました。










ここまでの動きになるとモルダム工法で止めることは不可能だと考えますが、実際には施工を行った2019年以来、家屋の沈下等も含めて動きは止まった状態となっています。




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